“エシカルファッション”ってなに?
ファッションの流行に敏感な女性のみなさん。2019年のブームの1つである“エシカルファッション”をご存知でしょうか。
聞いたことはあるけれど、正確な意味はわかりませんでした。
「エシカル=ethical」とは「倫理的な、道徳上」という意味の言葉です。
「エシカル」について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
もう少し噛み砕くと、生産者・環境・社会に対して、倫理的な配慮がされたファッションといえます。
これからの未来を考えて、人と環境に優しくファッションを楽しむことが大切といわれています。ハリウッドスターの中にもエシカルファッションを表明している人もおり、大きなブームになっていることは明らかです。
この機会に、まずはエシカルファッションの意味をよく理解して、具体的にどう実践できるのか知っていきましょう。
大量生産で被害をうける途上国への倫理観から始まった
ファッション業界は競争が激しく、様々なブランドで多数の商品がつくられ、毎年のブームに合わせた服が出ては消えていく「大量生産・大量消費」が主流です。利益を追求した結果、環境や働く人への不利益がたくさん発生していました。
そんなファッション業界を大きく揺らした出来事が、2013年にバングラデシュで起きた“ラナ・プラザの悲劇”と呼ばれる事故です。
バングラデシュは、その人件費の安さから、世界中の衣料品メーカーの工場が多数あり、縫製産業が主な産業になっています。
首都ダッカから北西約20kmにある都市、サバールにある商業ビル“ラナ・プラザ”は、本来4階建のところを、無理やり8階建に改築しており、合計4000人ほどの従業員が寿司づめの状態の中、縫製工場で働いていました。
そんな状況の中、前日にビルの亀裂が発見されていたにも関わらず、従業員に避難することを許さず働かせ続けた結果、ビル全体が崩落し、死者1100人以上・負傷者2500人以上・行方不明500人以上を出す大惨事となりました。
そのあまりの被害の大きさに、ファッションの生産において利益のみを追求しすぎてきたことが課題として強く認識され、適正化をはかるべきだという動きが各地で強まりはじめました。
エシカルの取り組みは“フェアトレード”と“オーガニック”が中心
エシカルファッションはさまざまな取り組みがあります。
エシカル・ファッション・ジャパンなどで「エシカル」と呼べる取り組み内容も紹介されていますが、大きな動きとしては“フェアトレード”とオーガニック”が主です。
“フェアトレード”ってなに?
“フェアトレード(fair trade)”は直訳すると“公正な取引”です。
国際フェアトレード認証ラベルを発行しているフェアトレード ジャパンでは下記のように定義しています。
開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。
フェアトレードとは?|fairtrade japan|公式サイトより
フェアトレードを実施することで、働く人が搾取されるような労働環境を防ぎ、適正な利益を得ることで長期的に持続可能な生産体制をつくることが可能です。
フェアトレードの認証制度もあるため、その認証を受けた商品を選ぶことが、こうした取り組みをいっそう加速させることができます。
“オーガニック”とは?なぜそれがいいのか?
“オーガニック(organic)”とは“有機栽培”のことです。
日本のオーガニック認証団体である特定非営利活動法人 日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会(JONA)では下記のように説明しています。
農薬や化学肥料に頼らず、太陽・水・土地・そこに生物など自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法をさします。
特定非営利活動法人 日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会 Q&Aページより
オーガニックの定義については、各認証団体によって細かな項目の違いがあるため一律ではありませんが、上記にある有機栽培に加え、認証団体によっては労働環境についても審査されています。
オーガニック認証を受けている商品を使うことで、環境に対して配慮された形での生産に協力することもできます。
ラグジュアリーブランドでも広がるエシカルな活動
さまざまな企業が取り組みを行なっている「エシカルファッション」は、2019年のファッション業界のブームにもなっています。
「エシカルブランド」と呼ばれる、創業時からエシカルな活動を行なうブランドも増えてきており、世間に認められています。有名なところで言えば、ステラ・マッカートニーやPeople Tree、パタゴニアなどが知られています。
また、ハイブランドでも動きがあり、グッチやアルマーニがファーフリー(動物の毛皮を使わない)宣言をするなど、エシカルな取り組みをしています。
また、日本ではUnited Arrowsの別ラインである「TEGE(テゲ)」など、有名ブランドの別ラインとしてエシカルをうたったブランドを出して、各所でアパレルブランドの社会的責任を果たす動きが活発です。
人と環境に優しく生きるために”ちょっといい選択”を
各所で活発になっているエシカルファッションも、まずは自分の手にとりやすいブランドを見つけてみるとよいかもしれません。
お気に入りのエシカルブランドを見つけるもよし、買い物の際に「オーガニックなのか?」「フェアトレードなのか?」を理解していくもよし、少し視点を変えるだけで、貢献できることが増えます。
「エシカル」を身近なところから取り入れて、人にも環境にも優しい選択を始めてみるのはいかがでしょうか。
▼関連記事はこちら