【金城 由希乃(きんじょう ゆきの)】ジーエルイー合同会社 代表。
沖縄県沖縄市出身。「サンゴ死んじゃうよ」とダイバーに言われたことをきっかけに、自然にも人の肌にもやさしい日焼け止めを開発し、2017年に「サンゴに優しい日焼け止め」を発売。2020年には海洋ゴミの問題解決のため、ワンコインで手軽にビーチクリーンに参加して地元の人々と交流できる「プロジェクトマナティ」を開始した。
今回登場してくれるのは、「サンゴに優しい日焼け止め」を開発・発売しているジーエルイー合同会社 代表の金城由希乃さんです。
今年の春で販売5年目を迎える「サンゴに優しい日焼け止め」は、クラウドファンディングの支援により発売に至っています。
開発から発売までにはたくさんの困難があったそうですが、「よい経験だった」と笑顔でお話される金城さん。今回は、そんな金城さんと「
サンゴに優しい日焼け止め」のストーリーをご紹介していきます。
海に囲まれた地元の沖縄でも知られていなかった衝撃の事実
沖縄で生まれ育った金城さんは、大阪や東京、ニューヨークでの生活を経て、地元の沖縄に戻ってきます。
そしてあるとき、海で市販の日焼け止めを使っていた金城さんを見て、あるダイバーの方に衝撃的な言葉をかけられます。
「珊瑚、死んじゃうよ」
その一言をきっかけに、日焼け止めと珊瑚の関係に興味をもった金城さん。論文等を調べていくうちに、日焼け止めに含まれている化学成分が珊瑚に悪影響を及ぼしていることを知りました。
青い海と珊瑚が広がる観光地の沖縄で、その事実が知られていないことがおかしいと感じたそう。
そして金城さんは、珊瑚に悪影響を与えない日焼け止めの開発に乗りだします。
発売までの道のりは、しんどいことの方が多かった
2016年、商品開発に向けて金城さんは資金集めを開始します。昔から、お金がなくても「これやりたい!どうやったらできるんだろう?」と考えるタイプだったという金城さんですが、そのときの周囲の反応は予想以上に冷ややかでした。
「一般的な日焼け止めに含まれる成分が珊瑚に悪影響があると知れば、 珊瑚にやさしい商品の開発をたくさんの人が応援してくれるだろうと思っていました。 ・・・おバカでしたね。」
そう金城さんは、当時のことを振り返ります。
詳しくは覚えていないというほど困難つづきだった資金集めは、大半が冷めた反応で、それでも金城さんは毎日人に頭を下げつづけたそうです。
受けた声援や支援は、一生忘れられない宝物
※パラオにて撮影したミノル・ウエキ元駐日大使との写真(パラオでは、珊瑚礁に有害な成分を含む日焼け止め製品の輸入、販売、持ち込みを禁止している。)
この経験をしたことで、たくさんのことを見直すきっかけになったと笑顔で話す金城さん。当時は友達から「どうしちゃったの?」と言われたり、心が折れそうになったりすることもありました。
その一方でクラウドファンディングを通して支援してくれる人も多く現れ、商品化が決定。
「実際に支援してくれたり、プロジェクトに賛同してくれたり、 わたしに『がんばって』と声をかけてくれる方々がいることが 心の支えでした。一生忘れられない宝物です。」
たくさんの人に応援してもらった経験から、自分も頑張っている人を応援する姿勢でいつもいたいと金城さんはお話してくれました。
「サンゴに優しい日焼け止め」に込めた想い
こうして、金城さんは2017年に「サンゴに優しい日焼け止め」を発売します。
この商品名には、商品を見るたびに、自然に配慮するということをちょっと思い出してほしいという金城さんの強い想いがつまっているそう。
「サンゴに優しい日焼け止め」は、青い海のイラスト付きのかわいいアルミ缶に入っています。手にとったときに、自然にも人の肌にも優しい日焼け止めという金城さんのお話を思い出し、優しい気持ちになりました。見た目もかわいいので、贈り物にも喜ばれそうです。
後編では、金城さんの想いや、未来に描いているビジョンをお届けします。
お楽しみに。