シェアリングエコノミーとは?新しい経済のかたち

最近、「シェアリングエコノミー」という言葉をよく耳にしませんか。

いままでは大量生産、大量消費の時代でしたが、今は世界的にサステナブルな社会を目指そうという動きに変わりつつあります。

特に最近では2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」に標準を合わせ、日本政府が指針を掲げています。

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その上記の流れの中で、無駄をなくし、資源を大切にしようという考え方から生まれた経済のかたちの一つが「シェアリングエコノミー」です。

今回はシェアリングエコノミーの基本的な考え方、取り組みについてご紹介していきます。

シェアリングエコノミーとは?

シェアリングエコノミーとは、所有しているモノや場所・スキルなどをインターネット上のプラットフォームを介して、個人間でシェア(貸借・売買・提供)していく新しい経済の動きです。

その背景には、インターネットやスマートフォンといった技術の進歩と普及があります。つまり、テクノロジーの進化によって多くの人が位置情報や決済システムといったサービスを利用しやすくなり、個人間でのシェアが手軽にできるようになったのです。

海外では2008年頃から米国シリコンバレー発の「民泊仲介サービス」や「配車サービス」などを筆頭に普及が始まりました。その後、日本でも海外旅行先でシェアサービスを利用したユーザーの口コミが、SNSで広まるなどしてメディアでも話題を呼びました。

こうした流れの中で、若い世代を中心に「必要なときに必要なぶんをシェアしあう」ライフスタイルが支持を集めるようになったのです。

日本政府も地方創生や超少子高齢化社会における課題の解決に、シェアリングエコノミーが寄与すると期待を寄せ、シェアリングエコノミー推進を成長戦略の重点施策の1つに位置づけています。

2016年11月にはシェアリングエコノミー検討会議でシェアリングエコノミー推進プログラムを策定。2017年1月には内閣官房IT総合戦略室内に「シェアリングエコノミー促進室」が設置されました。

※2017年3月24日にシェアリングエコノミー促進室に公開された、シェアリングエコノミー推進のシンボルとなるロゴマーク

2017年6月には、シェアリングエコノミー検討会議で示されたシェアリングエコノミー・モデルガイドラインに基づき、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が自主ルールを策定し、その適合を認証審査する「シェアリングエコノミー認証制度」が開始されました。

さらに、同年秋にはシェアリングエコノミーで地域行政課題を解決する自治体を認定する「シェアリングシティ認定制度」、同様に地域課題の解決に取り組む民間企業・団体に対して「シェアリングシティ推進パートナー認定制度」もスタートしました。

このように健全なシェアリングエコノミーの発展に向けたさまざまな取り組みが進められています。

シェアリングエコノミーの市場規模は?

シェアリングエコノミーの市場規模は毎年右肩上がりに伸び続けています。

総務省の「平成28年版情報通信白書」によれば、全世界のシェアリングエコノミーの市場規模は、2013年には約150億ドル(約1兆7000億円)だったものが、2025年には約3350億ドル(約37兆円)にまで拡大すると予測されています。

出典:PwC「The sharing economy – sizing the revenue opportunity」

日本国内の市場規模は、2016年度から2022年度までの年平均成長率(CAGR)は17.0%で推移し、2022年度の国内シェアリングエコノミーサービス市場(事業者売上高ベース)は1,386億1千万円に達すると予測されています。

出典:矢野経済研究所「シェアリングエコノミー(共有経済)サービス市場は2桁増のペースで成長!」2018年

まさにシェアリングエコノミーの市場にビジネスチャンスが転がっているといっても過言ではありません。

シェアリングエコノミーには、どんなサービスがある?

シェアリングエコノミーのシェアサービスは、主に「空間」「モノ」「移動」「スキル」「お金」の5つのカテゴリーに分類されます。サービスの形態はさまざまですが、ネット上でやりとりが完結するオンライン型、直接対面するオフライン型に分けられます。

主なシェアリングエコノミーの領域

シェアリングエコノミーはおもに5つに分類されます。

1. シェア × 空間 
・民泊仲介サービス 
・貸会議室予約サイト 
・レンタルスペース予約サイト 
・駐車場予約サービス

2.シェア × モノ
・フリマアプリ 
・地元の掲示板 
・ファッションレンタルサービス 

3.シェア × 移動 
・配車サービス
・相乗りシェアサービス 
・個人間のカーシェアサービス 
・自転車シェアサービス 

4.シェア × スキル 
・クラウドソーシングサービス 
・家事・子育て代行マッチングサイト 
・愛犬の預かりマッチングサービス 
・地域の暮らしの体験マルシェ 
・外国人が教える家庭料理教室 
・訪問介護・生活支援マッチングサービス

5.シェア × お金
・クラウドファンディング 

「シェアリングシティ」とシェアリングエコノミーの関係は?

シェアリングシティとは、シェアリングエコノミーのサービスを活用して、地域課題の解決に取り組む都市を指します。シェアリングエコノミー協会では2017年11月から、シェアリングシティ宣言を行った自治体で、一定条件を満たす自治体に対して「シェアリングシティ認定マーク」を無償で授与しています。

シェアリングシティ認定マーク

代表的な自治体としては、雇用不足による人口流出の課題を抱える佐賀県多久市があげられます。同市ではシェアサービスを通じた就業機会の創出を目的として「佐賀県多久市ローカルシェアリングセンター」を開設。

インターネットを通して個人が企業などから仕事を請け負うクラウドワーカーを育成するためのプログラムが実施され、子育て中の主婦や70代のシニア層などが得意分野で仕事ができるようになることを目指しています。

助け合いの輪が地球を救う

このように、シェアリングエコノミーの基本的な考え方は「助け合い」の輪を広げていくことです。助け合いにより、結果的にサステナブルな社会や暮らしを作っていくことにもつながります。

シェアリングエコノミーの最大の価値は、「人と人とのつながりの復活」とも言われています。単身世代の増加とともに孤独が社会問題となっていますが、新しい人のつながりを生み出しながら、地球環境を守ることのできる、革新的な経済のかたちになるのではないでしょうか。

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