「サスティナブル」とは?
最近よく聞く「サスティナブル(Sustainable)」。これはsustain(持続する)とable(〜できる)を合わせた言葉で「人間・社会・地球環境の持続可能な発展」を意味します。
環境問題に関するニュース、ビジネスの世界、デザイン、ファッション、街づくり、食品、ひいては有名アーティストの楽曲にもあるなど、さまざまな場面で目にすることが増えてきたキーワードですよね。
でも正確な意味は?と聞かれると、なんとなくの理解しかできていない方も多いのではないでしょうか。ビジネスパーソンなら、聞かれたらすぐに説明できるようにしておきたいところです。
忙しい方向けに、3分で分かるように、具体的にどういう変遷で、どのような取り組みがあるのか簡単にまとめてみました。
様々な面における問題解決に立ち向かう「サスティナブル」という考え方

「サスティナブル」という言葉を使うと、少し固いイメージになりがちですが、シンプルに言うと「自分たちだけではなく未来の世代も含めて、美しい地球を保ち、誰もがより豊かに平和に暮らし続けていける社会をつくっていくこと」です。
そのために解決していくべき課題点は多くありますが、国連ではその要素を大きく「5つのP」に分類しています。
People (人類) 貧困・人権・教育・ジェンダー
Planet (地球) 地球環境保護・気候変動対策
Prosperity (豊かさ)経済格差・社会格差の是正
Peace (平和) すべての人に平和と公正を
Partnership(パートナーシップ)目標達成のためのパートナーシップ
地球の環境を守ることだけではなく、格差問題や人権問題を含めて、より広い意味で世界中の人々が平和に暮らしていける世界を実現していくことが求められています。
サスティナブルという考えからSDGsが生まれてきた経緯
1972年 ローマ・クラブの「人類の危機」

有識者たちのシンクタンク、ローマ・クラブが発表した「人類の危機」レポートで発表された内容は、人口と工業投資がこのまま右肩上がりに成長を続けると、天然資源の枯渇・環境汚染により、100年以内に成長は限界を迎えるというものでした。
これを機に、それまでも有識者が警鐘を鳴らしていた長期的な発展に関する問題がより注目されるようになっていきます。
1992年 持続可能な開発のための「アジェンダ21」

1980年代から、経済成長と環境保護は両立できるという考えが広まりはじめます。
そのさなか、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「地球サミット」で採択されたのが「アジェンダ21」と呼ばれる行動計画です。
その骨子が、21世紀に向けて環境への影響を最小限に抑えた「持続可能な発展」で、ここから「持続可能性」という概念が広く普及しはじめました。
2000年 MDGsから2015年 SDGsへ

2000年の国連ミレニアムサミットでは、MDGs(Millennium Development Goals 「ミレニアム開発目標」)が採択されます。
これは、主に途上国の社会開発を目標とし、一定の成果を達成しました。
それを受けて2015年に採択されたのがSDGs(Sustainable Development Goals 「持続可能な開発目標」)です。豊かさの追求はもちろんのことながら、地球環境を守り、「誰一人取り残さない」ことを強調し、2016年から2030年までの15年間での達成を目標としています。
SDGsについて詳しくはこちらの記事もご覧ください。
サスティナブルの具体的な取り組み例
サスティナブルの概念・歴史について触れたうえで、続いては実際に行なわれている具体的な取り組みについてご紹介します。
シンガポールの緑化政策

クリーン&グリーンシティと呼ばれるシンガポールの街は、政府の緑化政策によるものです。
2012年にオープンした「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」はその象徴的な近未来型巨大植物園。巨大な人口樹を備え、水やエネルギー、植物・肥料などが循環する、持続可能な都市のモデルとなっています。
サスティナブルファッション

レザーやファー、カシミアなど環境負荷の高い素材を使わないファッションが増えています。有名なものでは「ステラマッカートニー」などが、創業時からサスティナブルな生産に取り組んでいたり、グッチやアルマーニなどのハイブランドでもファー不使用が宣言されています。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
サスティナブルコーヒー

コーヒーは世界60カ国以上で生産されていますが、その生産国の多くは発展途上国。原材料が公正でない価格で買い叩かれていたり、環境や生態系の破壊につながってしまっている状況があります。
オーガニックでの生産やフェアトレードでの取引が進められており、それぞれ認証を受けた商品が販売されています。
わたしたちにできる具体的な活動とは?
ここまでお伝えしてきたように、さまざまな団体・企業でサスティナブルな取り組みが進められています。
では、私たちが身近にできることは何かあるのでしょうか?
サスティナブルなものを購入する

企業や各種団体が行なっている取り組みに簡単に協力できるのは、該当する商品の購入です。
日本の企業では、サスティナブルが、その取り組みによりコストになると認識されているのが現状。
ただ、サスティナブルな商品をつくることが、より購入意思の向上につながり、企業価値を高めることになれば、より活動が広がるのではないでしょうか。
必要以上に資源を使いすぎない

エネルギーや食品を必要以上に使うことは、環境に対する負荷になることが多くあります。生産にかかるコストはもちろん、食品を廃棄する際にかかるコストなども課題視されています。
必要な分を購入して使い、無駄を減らすことも身近な貢献になります。
サスティナブルな考えを伝える・共有する

サスティナブルな取り組みを進めることと同じように、その考えを広く浸透させていくことも、持続可能な世界にしていくために大切だと感じています。
サスティナブルな考えを伝えていくこと、次の世代に教育として残すことなど、長期的なパートナーシップを組んでいくことが、持続可能な世界に近づく1歩になっていくのではないでしょうか。
未来の世代に持続可能な社会を残す1歩を

今回は「サスティナブル」の意味と歴史を簡単にまとめてお伝えしてきました。
関連する用語として「エシカル(Ethical)」や「オーガニック(Organic)」なども押さえておくと、より深く理解できます。
自分が実践できる行動や、その他団体・企業の具体的な取り組み例は、今回ご紹介した以外にも多数あるので、まずは自分が興味を持ち、知って、できることから実践してみるのもひとつかと思います。
自分も未来の世代にも、より良い暮らしを残せるよう、身近なところから取り入れてみてはいかがでしょうか?
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