自分の強みを知り、折れない強い心をつくる5つのエクササイズ

自己肯定感 エクササイズ

自分に自信が持てず、心理学で言うところの「自己肯定感が低い」人の周囲には、批判的な人々が多く集まります。彼らからの批判やダメ出しにさらされ続けることで、「自分はやっぱりダメな人間なんだ」と自己批判を繰り返してしまい、さらに自己肯定感が下がってしまうのです。

今回はNYの人気セラピストであるガイ・ウィンチ氏の著書『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』から自己肯定感、すなわち心の免疫力を高める方法をご紹介します。

完璧主義は要注意!過度なダメ出しは悪影響

「自己肯定感(セルフエスティーム)」とは心理学の言葉で、自分を肯定し、価値あるものとして受け入れることをいいます。失敗をしてしまったり、心が傷ついたとき、一時的に「自分はダメなヤツなんだ」と自己肯定感が低くなることがありますが、これは誰にでもあることで、時間が経てばまた元に戻ります。

ところが、必要以上に繰り返し繰り返し自分自身を責めてしまう“自己批判”の強いタイプ、例えば完璧主義な性格の人がいます。

こうした強い自己批判は、自己肯定感の慢性的な低下につながります。これは、心の健康を考えると危険な状態です。自己肯定感が低いと、心の免疫力が大きく下がってしまうからです。

免疫力が弱くなると、私たちの心はちょっとしたことでも傷つきやすくなり、「打たれ弱い」状態になります。なんとなく気分が沈み、悲観的で消極的な態度になりがちです。憂鬱や不安が高まり、過食症や拒食症になる危険もあります。さらには人間関係の満足度が下がることもわかっています。

一方、自己肯定感を高めれば、心の免疫力が強化されて多少のことではへこたれなくなります。

このような説明を聞かなくても、「自分を好きになれるのであれば、そのほうがいい」と多くの人は感覚で知っているでしょう。「自分を好きになりたいのになれない」、自己肯定感の低い人はつねにその気持ちの中で揺れ動いているのではないでしょうか。

人は誰でも、自分を厳しく見てしまいがちです。時には自分の行動を省みて反省することも大切ですが、罵声が人に悪影響を与えるのと同じように、自分自身への過度な批判やダメ出しを行うことは、自分に悪影響をもたらすだけです。

上記の話を聞くと、「自分を甘やかしてしまえば、さらにダメな人間になるのでは?」と不安げに聞く人がいます。しかし、自分に批判的であることは自分を律していることにはなりませんし、自分に優しくすることと甘やかしは違います。さまざまな研究により、自分に優しくしたほうが心の免疫力が高まり、物事がうまくいくことは明らかになっています。

また、「自己肯定感を高く持ちすぎれば、自己愛の強い人間になってしまうのでは?」という質問をする人もいますが、その心配は無用です。自己愛が過度に強い人は、そもそもそんな心配などしないタイプの人間だからです。

ネガティブな人には近づかない

自己批判の強い人がなぜそのような状態になったのか、人によって実にさまざまな要因が考えられます。数々の環境や性格などが複雑に絡み合っているため、要因をひとつに絞るのは難しいところです。

多く見られるのは、周囲からの“ネガティブフィードバック”が非常に多い環境にいるというパターンです。それは、家族や配偶者、友人、職場環境だったりしますす。

そういう人たちの中でつねに批判されたり叱責され続けていると、自分自身も「私はダメなヤツなんだ」と思ってしまうのです。また、自己評価が低くなると、ネガティブな言葉を投げつけられたり、不当な扱いを受けるのは当然のことなのだと思い込んでしまい、負のスパイラルから抜け出せなくなります。

しかし、相手に尊重してもらうためには、自分を尊重してほしいと伝える必要があります。人は、必要以上の努力をしない生きものですから、雑に扱っても許されるなら、つい行動が雑になります。「やめて」と言わない相手には「やめなくていい」のだと思ってしまうのです。

ただし、そんな言葉に耳を傾けてもらえない、関係性をさらに悪化させてしまうというような状況であれば、無理に伝えようとする必要はないでしょう。ただ、そんな人々からそっと離れればいいだけです。自己肯定感を高めるべく努力しても、周りからつねに攻撃をされているような状態ではそれは無理ですから、そこから離れることは必須なのです。

このように、体に置き換えてみるとわかるように、私たちは体の不調には適切に対処できても、心の不調となると急にお手上げ状態になります。

足を骨折した人に「歩いてみなよ。そんなの足の持ちようさ」とは決して言わないのに、落ち込んでいる人に対しては「気にするな。そんなの気の持ちようさ」と言ってしまう。体に比べて、心はないがしろにされがちです。それは、心の手当ての方法をこれまで学んでこなかったからにほかなりません。

ケアの仕方どころか、私たちは自分の心の痛みにすら鈍感です。まずは、自分の心が踏みつけられて傷んでいることを自覚することが必要です。

自分の強みを確認して折れない強い心をつくる5つのエクササイズ

折れない心をつくるために、次の1~5のエクササイズを定期的に実行してください。毎日でなくとも週1回でも効果があります。ストレスの多い時期や、自分に自信がなくなりそうなときにも、あらかじめ実行しておくと効果的です。用意するのはまっさらな紙2枚です。

(1)まず1枚目の紙に、自分のいいところを書き並べましょう。性格や特徴、やりとげたことなど、何でもかまいません。少なくとも10個以上見つけられるように頑張りましょう。

(2)よいところを考えているときに、ネガティブな考えや批判的な言葉が心に浮かんできた場合は、それを2枚目の紙にすべて書きとめましょう。

(3)1枚目の紙に書いた中から、自分がいちばん大事だと思うものをひとつ選んでください。そのことについて、短い文章を書いてみましょう。なぜあなたは、この特徴やスキルや経験が大事だと思うのでしょうか。あなたの人生にとって、それはどんな意味を持ちますか?

(4)次に2枚目の紙を手に取って、くしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てましょう。こんなものはただのゴミだからです。

(5)翌日、1枚目のリストの中から別の特徴をひとつ選んで、それについて短い文章を書きましょう。1日にひとつずつ、定期的に(できれば毎日)実行し、リストのすべての項目が終わるまで続けてください。

途中で自分のよいところを思いついたら、それもリストに追加しましょう。

このエクササイズの主な効果は、嫌なことがあっても折れない心をつくることです。また、自己否定を減らし、ポジティブな言葉を受け入れやすくもします。

批判的な人々の輪から離れるなど環境を変えたり、自分でできる手当てを続けていれば、多くの場合、状況は改善していくでしょう。ぜひ、体のケアと同じように、心のケアも日常的なものとして取り入れ、心の免疫力を高めるために役立ててください。

●参考著書

「NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法」ガイ・ウィンチ(著)、高橋璃子(翻訳)、かんき出版 (2016/9/14)

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