健康に興味を持っていると、食生活においてなんとなく聞いたことがある「マクロビ」「マクロビオティック」という言葉。
「なんとなく健康には良さそうだけど、実際どんなものなの?」
「マクロビオティック」の語源は古代ギリシャ語。
「Macro」大きい・長い+「Bio」生命+「Tic」術・学
という3つの言葉をかけ合わせた、「健康に長く生きるための方法」という意味の造語です。
主には食生活を基本とした健康法のこと。今回は、具体的に「マクロビオティック」がどんなものなのか、よく聞く「ヴィーガン」「ベジタリアン」とはどう違うのか、またその歴史をお伝えします。
「マクロビ」の食生活は玄米中心に野菜・豆など

マクロビは、玄米を中心とした食事です。基本的に、玄米を食事の約半分、そして副菜として、季節のものを使ったサラダや煮物などを食べます。
食材バランスの目安としては、玄米など未精製の全粒穀物が50~60%、野菜が25~30%、豆や海藻が10~15%、その他(ナッツや果物など)が5~10%です。
食事ガイドライン | CHAYA Macrobioticsより
推奨されている食べ物は、玄米や野菜のほか、豆や海藻、ナッツや果物など。
逆に、できるだけ避けたい食べ物としては、大型の魚、肉、卵、乳製品、精製された白砂糖、化学調味料が挙げられます。
マクロビメニューのあるお店に行くと、お肉の代わりに「大豆ミート」と呼ばれる大豆からつくられたお肉のような食感のものや豆腐が使われていたり、白砂糖を使わない分、米飴(こめあめ)やナッツを使ったスイーツがあったりします。
菜食主義との違いとは?マクロビは健康を得るためのひとつの考え方

マクロビは「バランスの良い食生活を推奨するひとつの考え方」です。そのため、厳格な規律があるわけではありません。
肉や魚も、推奨していないだけで完全に禁止はしていません。
むしろ、肉好きの方が急に一切の肉をやめてストレスの原因になることもあるので、健康のために長くマクロビを取り入れるのであれば、完全になくさずとも、少しずつ減らしていく形でも問題ありません。
一方のヴィーガンやベジタリアンなどは「肉食を避ける菜食主義」です。
肉食をしない理由は、宗教上のもの・殺生を避ける思想・健康のためなどさまざまですが、明確に肉を食べることを禁止しています。
ちなみにベジタリアンとヴィーガンは、禁止している食べ物に違いがあります。
肉や魚を食べないことは共通していますが、ヴィーガンは「完全菜食主義」とも呼ばれ、肉や魚の他にも、すべての動物性のものを避けます。
例えば、卵、乳製品、はちみつ、ゼラチンなども禁止されており、食事だけでなく、毛皮を着ない、コスメ等にも動物性の成分が入っていないものを使います。
このように、それぞれの考えに違いがあるんですね。
マクロビの考え方についておさえるべき3つのポイント

ハリウッドセレブが取り入れたことで話題になったことから、マクロビは海外の考えと思われがちですが、実はもともと日本の学者である桜沢如一(さくらざわ ゆきかず)さんが発案したものです。
マクロビにおいて、大事にしている考え方が3つあります。
1.【身土不二(しんどふに)】その土地の旬のものを食べる
人間も植物も、生まれた環境と一体、という考えです。暑い地域でとれる食べ物には体を冷やす働きがあり、逆に寒い地域でとれる食べ物は体をあたためる働きがあります。
マクロビの考えでは、四季のある日本においてはその“旬”の食べ物を食べることが良いとされています。
2.【一物全体(いちぶつぜんたい)】丸ごと食べる
食材そのものは、丸ごとでバランスが取れている、という考えです。
例えば、米であれば精製された白米よりも玄米、野菜なら皮付きを食べるなど、食材をまるごと全て食べることが良いと考えられています。
3.【陰陽調和(おんみょうちょうわ)】バランスよく食べる
マクロビにおいてはすべてのものに「陰」と「陽」があると捉えています。
陰性とは遠心力・静かなもの・冷たいもの・水分の多いものなどを指します。
陽性とは求心力・動きのあるもの・熱いもの・水分の少ないものなどを指します。
マクロビオティックではこの陰性と陽性のバランスがとれた状態(中庸)を大切としています。
マクロビオティックの基本 | CHAYA Macrobioticsより
そのため、季節に応じて体が陰陽どちらかに偏ることがないように、食材の選び方や調理法のバランスをとっていくことを行なっています。
これらの考えを大事にして作るマクロビの食事は、健康を気遣うだけでなく、他の地域から運んでくる輸入や加工にかかるコスト・環境への負荷も減らしていくことができます。
自分にも環境にもやさしい暮らしができるのが素敵ですよね。
健康に長く生きるために取り入れてみよう

基本的な考え方や食事法が、実は日本から生まれたマクロビオティック。
ヘルシーな食生活をしていきたい方にとってはぜひ取り入れていきたい考えです。
ただ、一般的な食事とはちがう部分もあり、賛否両論の意見があります。
しかし、健康に長く生きるための考え方のひとつなので、必ずこうしなければいけない、という決まりがある訳ではありません。
自分や周りの人の健康のために、まずは取り入れられる部分から実践してみてはいかがでしょうか。
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