短時間でクロージングできる会話のテクニック。エレベーターピッチのすすめ。

エレベーターピッチ

多くの営業マンにとって、お客様のニーズをつかみ、どれだけそのニーズへのアピールポイントを伝えられるかで案件受注につながるのではないでしょうか。特に新規開拓をする営業マンは、飛び込み営業後の信頼関係構築から自社や製品、そして自分から購入することの価値がどれだけ伝わるかがキーとなると思います。

そんな飛び込み営業マンは、忙しいお客様との時間をいただくために簡潔かつ印象に残るように要点をまとめたプレゼンをする必要があるのではないでしょうか。簡潔かつ印象に残るトークスクリプト、ノウハウ、プレゼン方法など、さまざまなハウツーが、本、インターネット、セミナー、先輩社員から教えてもらうなどの方法で知識としてインプットできます。

そんなさまざまなハウツーがある中で、今回は「エレベーターピッチ」について紹介します。「エレベーターピッチ」を初めて耳にする方から、営業成績に悩める営業マンなど、プレゼン上手になりたい方は参考になるのではないでしょうか。

シリコンバレー発祥の「エレベーターピッチ」とは?!

「エレベーターピッチ」は、「エレベーターで偶然にも投資家など重要人物に遭遇した際、目的の階までの数十秒間で自社を売り込むこと」です。「短時間で明確な要点をついた説明ができなければ、未来はない」と言われるほど、重要な場面ほど簡潔かつ印象に残るプレゼン力が問われます。また、エレベーターピッチの「ピッチ」は「投資家へのプレゼン」と呼ばれており、プレゼンテーションと比較するとやや短く、初見の相手や不特定多数の聴衆に対してなされることが多いです。

エレベーターピッチは、スタートアップ企業や起業を志す方たちが集まる、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコに位置するシリコンバレーが発祥地と言われています。ご存じの方も多いと思いますが、シリコンバレーはITの聖地と呼ばれるほどスタートアップのIT企業が多いです。次世代のGAFAM(ガファム)と並ぶような企業にするために、起業家たちは資金調達や自社のアピールのため、投資家たちにプレゼンテーションをします。

このエレベーターピッチを営業現場で駆使すると、短時間でかつ初見だったとしても、顧客につながる可能性が上がるのではないでしょうか。では、具体的にエレベーターピッチはどんなことを意識してやればよいのでしょうか。実施する際に意識する点や必要な要素について見ていきましょう。

効果的なピッチのために必要な5つの要素

「エレベーターピッチ」は、自分自身や自社プロダクトを売り込み、その目的や場面に応じてアプローチの方法が異なります。ただし、共通して言えることが、「ここで売り込まなければ、次がない」です。そんなエレベーターピッチでは、「G・T・C」と呼ばれる手法があります。

・GはGoalであり、目的やゴール、ビジョンなどを指します
・TはTargetであり、ニーズの把握を指します
・CはConnectであり、アプローチの仕方を指します

今回はこの3つの要素に加え、意識すると良い2つの要素を含めた5つの要素について、見ていきましょう。

1.目的の明確化(Goal)

目的やゴール、ビジョンを明確にすると、例えば投資家や意中の取引先相手にたいして簡潔かつ明確で要点をついた説明が可能です。一般的に意識すると良いと言われることではありますが、短時間で簡潔な説明をする際に無駄なことはできません。ゴールまでの道筋が明確であればあるほど、鋭く端的に的を射た説明となるのではないでしょうか。

このような、無駄がなく鋭い説明は、大きな印象を与えるだけでなく、相手の感情が揺さぶられ、話に惹きつけられる効果も期待できます。常に、目的やゴール、ビジョンを明確にし続けて感情に訴えかけるほどのプレゼンテーションを身に着けてみてはいかがでしょうか。

2.ニーズ喚起(Target)

どんなに目的が明確で、知識が豊富で熱い想いを込めて説明しても、相手にニーズがなければ行動喚起につながりません。逆を言うと相手にニーズがあれば、行動喚起につながる可能性は高まります。例えば、お腹が空いている友達をランチに誘うと、喜ぶでしょう。しかし、既に食事を済ませている友達にをランチに誘うと断られるでしょう。

こんな当たり前の話はわかっているとお思いの方も多いかと思いますが、実際に商談の現場ではニーズ喚起が不十分のため商談が失敗するケースも多いです。ニーズ喚起で最も意識すべき要素は、ターゲットの状況についてではないでしょうか。事前にターゲットの情報、例えばいくらの予算が使えるのか、既存のサービスは何を使っているのか、今後の事業展開はどのようにするのか、などを把握していればそれに対しての相手が求める情報を提案できます。まずは、ターゲットに関して情報を収集し、その情報から提案できることを考えてみてはいかがでしょうか。

また、併せて効果的なターゲットを決めることも大切です。売り込み先が決定権を持っていないのであれば、決定権を持つ方に情報が伝わるまで時間がかかり、時にはその情報が届かない場合もあります。決定権者へのアプローチが難しい場合は、その次に権限を持つ方へアプローチするなど、早く成約を得るためにできることを全て実施してみてはいかがでしょうか。

3.複数のアプローチを準備する(Connect)

エレベーターピッチの目的、ゴール、ビジョンは明確でも、ニーズが異なる場合があります。例えば、お腹が空いている友達にランチを誘うと、喜ぶでしょう。しかし、お腹が空いている肉が好きの友達にハンバーグ店へのランチを誘うと、とても喜ぶでしょう。

この例のように、ランチを誘うゴールが明確でも相手のニーズをしっかり把握した上で、アプローチすると相手の反応が変化し、その後の行動も変わるのではないでしょうか。しかし、このアプローチの手法は幾通りもの方法があり、プレゼンテーションや商談の現場で柔軟に対応することは難易度が高いです。

これは、経験を多く積むことで、アプローチ方法も身に付き応用もできるのではないでしょうか。先述の例文で、肉が好きの友達が「金欠だったら」、「時間がなかったら」、「誕生日だったら」と、このような付加情報がある場合、どんなアプローチをしますか。

こういったニーズ喚起をする中で柔軟なアプローチの方法も身に付くと思います。そして、これは日々の生活でも実践できることでもあるので、売り込まなければならない状況がいつ来てもいいように、日ごろから実践してみてはいかがでしょうか。

4.無駄を省く

目的の明確化でもお伝えしましたが、無駄を省くことも大切です。特に専門用語やたとえ話については注意が必用です。短い時間であれば、行動喚起のための専門用語やたとえ話は効果が見込めます。しかし、専門用語は時に相手に理解してもらえず、場合によっては理解する気を失い、話を真剣に聞いてもらえなくなる可能性があります。ただし、同業者やその分野に詳しい方などであれば、専門用語を加えることで、説明をより明確に伝えることができます。

また、たとえ話も同様です。冗長化するようなたとえ話は、相手を飽きさせるだけでなく、興味を失わせてしまいます。プレゼンテーションをする相手に合わせた専門用語やたとえ話を挿入して、効果的な構成のプレゼンテーションにしてみてはいかがでしょうか。

5.提案を受け入れた未来をイメージさせる

短時間でものごとを伝える場合、トークスクリプトなどの原稿も大切ですが、プレゼンテーションをしている際の表情やサインランゲージはさらに大切です。説明では、具体的な数値を入れることで曖昧さによる不信感や相手に無駄な思考や疑問を持たせることを減らし、根拠を述べることで理屈を抑え、提案を受け入れる場合のメリットを認識させます。

しかし、これだけでは行動喚起には不十分です。どんな根拠があり理屈を抑えても、感情が動かなければ行動喚起につながりません。メラビアンの法則で言われるように、言葉以外の見た目や声などの非言語コミュニケーションが、総コミュニケーションの約93%を占めます。。相手の心をオープンにするために、明るい表情で印象を良くし、サインランゲージを用いて相手の頭の中に提案を受け入れた未来のイメージを描かせます。言葉以外で表現できることを活用して、売り込んでみてはいかがでしょうか。

短時間でクロージングできる会話のテクニック

人とのご縁は一期一会です。そのご縁をどうするかも自分次第、日々自分を売り込めるようにしておくと、いざという時のチャンスを確実に得ることができます。

今回紹介した5つの要素はあくまでも知識です。これを完璧にしていても実践で身についてなければ意味がありません。また、相手が「この製品・サービス・アイデアが良いね!」と思うのであれば型どおりである必要はありません。。しっかり目的を意識して、その目的を達成するためにできることは試してみてはいかがでしょうか。

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