いま社会現象化している、漫画『キングダム』をご存じの方も多いのではないでしょうか。
2019年4月に実写映画化もされ、旬の俳優を起用した豪華なキャスティングも話題となり、瞬く間に話題に火がついています。
「キングダム」の面白さは、ただの少年漫画に止まりません。
キャラクターの魅力的な個性、史実に近いドラマチックなストリー性と、挙げればきりがありません。
なかでも、この漫画に自分自身を投影し、読み進めるほどに深く共感し、涙がとまらないという声をはなつ世代がいます。
そう、もっとも心を鷲掴みにされているのは、”社会”という乱世で懸命に戦う中堅ビジネスマンです。
この本は漫画という域を超え、”一番売れているビジネス書”とさえ言われるほどに、企業戦士たちを虜にしています。なぜ、それほどまでにビジネスマンの心を掴むのか、現代社会に照らして紐解いていきたいと思います。
日本中で戦うビジネスマンが涙する『キングダム』のあらすじ
『キングダム』は、週刊ヤングジャンプで圧倒的な人気を誇る、古代中国の戦国時代を舞台にした大河ロマンです。
単行本は、2019年4月時点で累計発行部数3800万部超にものぼり、日本の漫画史に名を残す作品となったことは言うまでもありません。
連載開始から10年が経過したいま、漫画の域を超えて「ビジネス書」として脚光を浴びています。
舞台は紀元前、中華の春秋戦国時代。いまだ一度も統一されたことのない中国大陸は、500年にもわたる戦乱のまっただ中。
「秦国」で、身寄りがなく奴隷のような扱いを受ける少年・信（しん）と漂（ひょう）は、いつか武功をあげて天下の大将軍になることを互いに誓い修行に励んでいます。
そんな2人のもとに、偶然秦国の大臣がでくわしたところから、彼らの運命が動き出します。
武将たちの勇姿は現世のリーダーの手本
魅力的なキャラクターが多く登場する「キングダム」ですが、なかでも目を引くのは様々な個性をもつ武将の姿でしょう。
漫画のなかでも、かれらの雄姿に突き動かされ、心を共にして戦を勝ち抜くシーンが描かれ、多くの感動を巻き起こしています。
しかし、漫画のキャラクター以上に心を動かされているのが、企業戦士・サラリーマンです。熱い志で部下の闘志に火をつけ、この戦を勝ち抜くという強い意思で、難局をくぐり抜けてゆく。
そんな勇姿を魅せる将軍たちの姿は、魅力的なリーダーでありたいと願うビジネスマンたちにとって、まさに理想として映るのではないでしょうか。
主人公・信
特に、主人公の信（しん）。
もっとも身分が低いボロボロの衣をまとった少年が、友との誓いを胸に、戦乱を駆け抜けながら武功を上げていく姿は、読む人すべての胸を熱くします。
その姿はまさに、右も左もわからずに社会に飛び出し、会社というヒエラルキーにも屈しず、高みを目指して突き進むあなたの姿と重なるのではないでしょうか？
信も、なにもない一兵という立場から、地道に武功あげなが、”千人将”、”三千人将””、”五千人将”と、志を共にする部下たちを増やしてゆきます。ですが、ただ組織規模が増えれば強くなるのかといえば、そんなに単純な話ではありません。
部下たちをいかに束ね、闘志に火をつけ、チームとして勝ち残っていけるかは、武将の器＝リーダーシップ力にかかっています。
駆け出しの武将ながらに、自らの強い思いで勝利を納め、同時に部下たちからも信頼を得ていく姿は、部下をもちはじめた新米リーダーが真似したい姿勢ではないでしょうか。
天下の大将軍・王騎
漫画のなかでも不動の人気を誇る天下の大将軍・王騎（おうき）は、数々の死地をくぐり抜けてきた経験で軍を率い、部下たちからも絶大な信頼を得ているリーダーです。
王騎の一声やその背中を見るだけで、部下たちは奮い立ち、共に難局を勝利へと変えていく力を発揮します。漫画のなかでなげかけられた王騎からのひとことは、今のあなたの組織に投じたい想いとかさなるのではないでしょうか。
大きな組織のなかで、マネジメントやリーダーシップに悩む方には、王騎の生きざまが心に響くでしょう。
本編には、まだまだ魅力的な武将たちがたくさん登場しますので、理想とするリーダー像やその心持ちを、真似てみるのはいかがでしょうか。
自らの姿に置き換えて、キングダムの世界観にどっぷりはまってみてください。きっと、新たなリーダーとして、昨日とは違った見え方に変わっていくと思います。
「『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ」はリーダー像の総集編
本編もさることながら、登場する武将たちのリーダーシップ術がまとめられているのがこちら。
『キングダム』で学ぶ 乱世のリーダーシップ (集英社学芸単行本)
出版社：集英社
発行年：2016年
ビジネスシーンでより具体的にキングダムのリーダーシップを発揮したい方には、本書にあるリーダーシップの10箇条を体得していただきたい。カテゴリーやシーン別に、リーダーとして身につけておきたい心構えやあり方がまとめられた貴重な一冊です。
さいごに
『キングダム』はどの世代のビジネスマンの心にも響くストーリーであることは間違いありません。
なかでも、自らのチームをもち、乱世を勝ち抜かんとするリーダーを目指す方々は、ぜひこのストーリーから勝利の秘訣を得てみてはいかがでしょうか。
