平成もいよいよ残りわずかです。新元号の名前は、4月に発表とのことで多くの方がさまざまな元号名を予想しています。直近の改元は、もちろん30年前の「昭和」から「平成」のときです。ちなみに、平成時代は近代から現代の和暦の期間の中でも、2番目に短い元号になります。
和暦は天皇が即位され、退位されるまでの期間ですがその意味や由来についてご存じの方は少ないかと思います。
せっかくの改元のタイミングなので、今回は近代から現代にかけての和暦でもある「明治」「大正」「昭和」「平成」の由来について紹介します。
そもそも元号とは!?
同義語として「年号」とも呼ばれ、歴史上の年代につけられる名称です。もともとは中国で発案され、日本では西暦645年の「大化」が最初の元号と言われています。古来より天変地異などが発生した時期など、君主の在位に関わらず頻繁に改元がされていました。しかし、明治以後は君主の在位中は元号を変えないという、一世一元の制度を設けています。また、元号の単位は「年」ですが、昭和から平成、平成から次の元号への移行のように一年の途中に実施されることもあります。
それでは、近代から現代にかけての元号である、「明治」「大正」「昭和」「平成」の由来をみていきましょう。
近代から現代にかけての元号の由来
明治 (1868~1912年)
「明治」は、日本で初めて一世一元の制度を導入した元号です。また、明治天皇が在位した期間とほぼ一致します。「明治」は、易経(えききょう)の以下の一文が由来です。
“ 聖人南面して天下を聴き、明に嚮ひて治む ”(出典元:易経)
まず、易経とは五経の一つでもあり、3,000年以上前に中国でつくられ、占いについて記された書物です。この一文の「明(めい)に嚮(むか)ひて治(おさ)む」から「明治」と元号が名付けれました。
また、この一文は、「聖人(天皇)が北極星のように顔を南に向けてとどまることを知れば、天下は明るい方向に向かって治まる」という意味が込められているようです。なお、この時代は、いくつか挙がった元号候補を、明治天皇が自らくじを引いて選出されたようです。
大正 (1912~1926年)
「大正」は日本で命名された元号の中でも14年と最も短い元号です。「大正」も「明治」と同様に易経を出典元とし、以下の一文を由来としています。
“大亨は以って正天の道なり”(出典元:易経)
この一文から「天が民の言葉を嘉納し、政(まつりごと)が正しく行われる」という意味が込められているようです。
昭和 (1926~1989年)
「昭和」は世界で命名された元号の中でも64年と最も長い元号であり、20世紀の大半を占めています。2回の世界大戦や世界恐慌、オリンピック、高度成長期などさまざまな時代背景があります。なお、平成28年10月1日時点で、昭和生まれの人口は 93,52万人であり、日本人口の73.7%(参考: 総務省 人口推計 )を占めています。「昭和」は書経の以下の一文が由来です。
“百姓昭明・協和万邦 ”(出典元:書経)
書経は、五経の一つであり、中国時代の堯、舜から夏、殷や周王朝までの帝人や諸侯の政論、政教や訓戒などが記された中国最古の歴史書です。この一文から「国民の平和と世界の共存繁栄を願う」という意味が込められているようです。
平成 (1989~2019年)
現在の元号です。30年前に当時の内閣総理大臣の小渕恵三氏が新元号を発表したことが、記憶に残っている方もいると思います。その方々にとっては「平成」の由来を知っているのではないでしょうか。「平成」の由来には、二つのアプローチがあります。一つ目は史記の以下の一文を由来としています。
“内平外成(ないへいがいせい) ”(出典元:史記)
史記は二十四史の一つでもあり、中国前漢の武帝が皇帝として治めた時代の歴史書です。この「内平外成(ないへいがいせい)」は家の中が穏やか(平和)で、外(世間)も平和になる(成る)と表され、「国内が平和であり、他国間とも平和である」という意味だそうです。
二つ目は「昭和」と同様に書経から、以下の一文を由来としています。
“地平天成(地平かに天成る) ”(出典元:書経)
この「地平天成(地平かに天成る)」は地が穏やか(平和)であり、天の運行が滞りなく繁栄する(成る)と表されているようです。二つの出典元から、天地も、内外ともに平和が達成されるという意味が込められ、「平成」と命名されたようです。
近代を振り返るいい機会
近代から現代にかけての「明治」「大正」「昭和」「平成」の由来を紹介しました。2019年5月1日に現皇太子徳仁親王が即位し、新しい元号の時代が始まります。また、4月1日に新しい元号が公表されます。世間では、新しい元号について、さまざまな憶測が飛び交っていますが、みなさんはどのような予想をしていますか。この機会に元号について振り返り、日本の歴史について振り返ると面白いかもしれません。